2kmを超える診療所の移転

診療所を移転するときは、注意しなければならないことがございます。

一般的には診療所は保険医療機関の指定を受けていますが、保険医療機関の指定を受けるためにはその指定の前月10日(厚生局により締切日が異なる)までに診療所を開設した上で保険医療機関の指定申請を行わなければなりません。

4月1日に新診療所を開院するとします。

3月1日 新診療所開設
3月1日 保険医療機関指定申請
4月1日 診療所廃止
4月1日 保険医療機関指定

この流れですと、4月1日まで旧診療所が保険医療機関、4月1日以降は新診療所が保険医療機関ですので保険診療が継続します。
しかし、診療所の管理者は2箇所を管理することができませんので、新診療所開設の3月1日から旧診療所廃止の4月1日までが重なっており、事実上不可能です。

4月1日 旧診療所廃止
4月1日 新診療所開設
4月1日 保険医療機関指定申請
5月1日 保険医療機関指定
 
通常の流れですと、上記のように保険診療が1ヶ月空いてしまいます。
 
4月1日 旧診療所廃止
4月1日 新診療所開設
4月1日 保険医療機関指定申請及び遡及手続き

そこで、このように保険医療機関の遡及の手続きを行う必要がございます。

遡及手続きは必ずできるというものではなく、次の要件を満たしている場合に限り、例外的に認められるものです。
例えば、個人開業から医療法人にした場合などが該当します。

下記は関東信越厚生局の遡及についての記載です。
[ここから]
次の場合は、例外的に、指定期日を遡及して指定を受けることができます。
1.保険医療機関等の開設者が変更になった場合で、前の開設者の変更と同時に引き続いて開設され、患者が引き続き診療を受けている場合。
2.保険医療機関等の開設者が「個人」から「法人組織」に、又は「法人組織」から「個人」に変更になった場合で、患者が引き続き診療を受けている場合。
3.保険医療機関が「病院」から「診療所」に、又は「診療所」から「病院」に組織変更になった場合で、患者が引き続き診療を受けている場合。
4.保険医療機関等が至近の距離に移転し同日付で新旧医療機関等を開設、廃止した場合で、患者が引き続き診療を受けている場合。

(注)開設者変更の場合は、開設者死亡、病気等のため血族その他の者が引き続いて開設者となる場合、経営譲渡又は合併により、引き続いて開設者となる場合などを含みます。

(注)至近の距離の移転として認める場合は、当該保険医療機関等の移転先がこれまで受診していた患者の徒歩による日常生活圏域の範囲内にあるような場合で、いわゆる患者が引き続き診療を受けることが通常想定されるような場合とし、移転先が2㎞以内の場合が原則となります。
[ここまで]

この、遡及の要件は厳格ですので、拡大解釈は一切認めてもらえないと考えていただいた方がよいです。
あくまで例外的措置であるということです。

ここで問題なのが、一番最後に記載のある注意書きです。
保険医療機関の移転は2km以内が原則となっておりますが、原則に対する例外とは、過疎地において2kmを超えるような場合でも患者の診療圏が変わらないような場合をいうため、通常は2kmを100mでも超えると認められないと考えてください。
基本的に、2kmを超える場合は一切の交渉の余地はありません。

診療所を移転する場合は、この2kmを絶対条件として考えましょう。
稀に、例外の例外として2kmを数百メートル超えた場合でも認めてもらえた例があるようですが、相当な労力を要します。また、圧倒的に認められない例がほとんどですので、これに期待するのはやめておいた方がよいです。

当事務所でも、このご相談は過去にございますが全くダメでした。
一例を言いますと、東京において3km離れた場所への移転について、一旦は厚生局から承諾を得たにも関わらず、後日、それを覆して一貫して認めないとした例がございます。
 
なぜ2kmかというと、2km変われば患者の診療圏が変わるという理由です。
厚生局のHPにもございますが、どの項目も「患者が引き続き診療を受けている」となっております。これは旧診療所から新診療所に変わっても同じ患者が引き続き診療を受けているという趣旨です。
患者が引き続き診療を受けることができる移転の距離が2kmという見解です。そのため、2kmを超える移転は「移転」ではなく新規開設だという捉え方です。
 
それでも移転をお考えの方は、当事務所へご相談ください。いくつか方法はございます。

PAGETOP